キャストと雇用契約ではなく業務委託の形をとっているお店では、支払うときに源泉徴収が必要になります。所得税法204条1項6号の「ホステス等の報酬」にあたるためです。
対象は個人への支払いです。法人と契約しているキャストへの支払いは、この源泉徴収の対象にはなりません(204条は個人への支払いを対象にしているため)。
計算式そのものは1つしかありません。
| 内容 | |
|---|---|
| 計算式 | (支払金額 − 5,000円 × 計算期間の日数)× 10.21% |
| 5,000円の根拠 | 所得税法施行令322条 |
| 10.21%の内訳 | 所得税10% + 復興特別所得税0.21% |
| 端数 | 1円未満は切り捨て |
いちばん多いまちがい:日数の数え方
「5,000円 × 日数」の日数を、その人の出勤日数で計算しているお店がとても多いのですが、**これは出勤日数ではありません**。計算期間そのものの日数、つまり締め日から締め日までの全日数です。
この点は最高裁で判断が出ています(最高裁 平成22年3月2日判決)。出勤日数で計算すると控除額が小さくなり、預かる税額が本来より多くなります。多く預かった分は本人が確定申告で取り戻すことになりますが、そもそも渡すべきお金を渡していない状態です。
具体的にどれくらい違うか
月末締め(31日間)で、その月に10日出勤した人に20万円を支払う場合を比べます。
| 数え方 | 控除額 | 税額 |
|---|---|---|
| ✕ 出勤日数 10日 | 50,000円 | (200,000 − 50,000)× 10.21% = 15,315円 |
| ○ 計算期間 31日 | 155,000円 | (200,000 − 155,000)× 10.21% = 4,594円 |
1人・1か月で1万円以上の差が出ます。人数と月数を掛けると、決して小さな額ではありません。
納めるのはお店
源泉徴収した分は、お店が預かって国に納めます。お店の費用ではなく預かり金なので、人件費の集計に混ぜないでください。混ぜると利益が実際より小さく見えます。
⚠ ここを取り違えているお店があります。給与について「納期の特例」(半年に1回の納付)の承認を受けていても、ホステス等の報酬(204条1項6号)は**特例の対象外**です。特例が使えるのは給与・退職手当と、弁護士・税理士など2号の報酬に限られます。ホステス報酬は原則どおり、支払った月の翌月10日までに納めます。自店が特例の承認を受けているかどうかも含め、迷ったら税務署か顧問の税理士に確認してください。
雇用契約なら計算が別になる
時給で働いてもらっていて、実態が雇用契約なのであれば、それは報酬ではなく給与です。給与の源泉徴収は源泉徴収税額表を使う別の計算になり、年末調整まで続きます。
実態がどちらなのかは、契約書の題名ではなく働き方で判断されます。出勤日時を店が決めている、断る自由が実際にはない、といった事情があれば雇用と見られやすくなります。ここは自己判断せず、税理士に相談してください。
支払調書は「全員分」ではない
1年分をまとめた支払調書を、翌年1月末までに提出します。ただし**全員分を出すわけではありません**。ホステス等の報酬は、同じ人への年間の支払額が50万円を超えた場合が提出の目安です。
ここを「源泉徴収した人は全員」と考えると、月4〜5万円の方の分まで作ることになり、要らない手間が毎年発生します。金額の線を先に決めてから作ってください。
NightPOS では、源泉徴収の区分を人ごとに(税率はお店ごとに)設定でき、給与明細と支払調書の印刷までつながります。計算期間の日数も締め期間から自動で取り、支払調書は目安を超えた方だけを既定で出します。詳しくは機能一覧をご覧ください。